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2005年7月20日 (水)

4月の反日暴動と今後の日中関係(下) 05/07/20

 いよいよ、3回シリーズの最終回です。
前回の予告どおり、「いかにして中国政府に反日教育に不利益が多いと認識させて止めさせるか」について考察してゆきます。

 この件について4月16日の上海暴動以後の中国政府の動きの中に何かヒントが隠されていないでしょうか。
まずは4月16日以降の主な動きを追って見ましょう。

4/17
 破壊活動に対する謝罪は無く、賠償などの問題にも触れず。(上海市政府 焦 揚 報道官)

4/17
 中国政府は今まで一切、日本人民に対して申し訳ないことをしたことはない。(国外交部 李肇星 部長)

4/21
 インターネット、携帯電話上で無許可デモを組織することの違法性を指摘。無許可デモへの参加、関連情報を流すことも禁止。
(中国公安局 報道官)

4/23
 中国人民の強い反応に対し、日本は真剣に反省しなければならない。(胡錦濤国家主席)

5/4(五四運動記念日)
 反日活動の再燃が懸念されていたが、大規模なデモは完全に封じ込められた。

5/10
 日本大使館が受けた損害に対し、原状回復する意向を表明。(李肇星外相)

 全てを網羅しているとはとても言えませんけれども、大体の流れは掴めたかと思います。
 これを見ると4月20日過ぎまでは対日強硬路線一色で、25日あたりからデモの鎮静化に本腰を入れ始め、封じ込めに成功したところで、対日強硬路線を緩めていることがわかります。
 つまり、ウィーン条約違反で対外イメージの悪化は重々承知していながら、国内の反日活動の沈静化を最優先し、日本に対する配慮(対外的配慮)は二の次にされたということですね。
 うーむ、結局中国政府が最も恐れているものは、外国からの圧力でも、対外的イメージの失墜でも、ましてや日中関係の悪化でもなく自国の民衆と言う事になりますね。
 それでは日本政府が徹頭徹尾謝罪と賠償を求め、対中強硬姿勢を貫いていたらどうなっていたでしょうか。

↓日中外相会談 町村外相 謝罪と賠償を求めるが拒否される。
↓日本政府 外国の記者団に対し、今回の中国の在外公館に対する暴動と、中国政府の対応は明らかなウィーン条約違反と強い口調で述べる。
↓中国政府、今回の一連の反日デモは、中国人民に対する不誠実な態度が根底にあり、日本政府は深く反省する必要がある。
↓外務省 中国政府の発言に強い不快感。改めて謝罪と賠償を求める。
↓中国各地で反日デモ、広がる日本製品不買運動、各地で日系商店が襲撃される。
↓日本政府、中国政府に事態の沈静化を強く求める。
↓某国会議員が北京オリンピック不参加も検討すべきと発言
↓日本人留学生襲撃され重態
↓中国政府 国民に冷静な行動を呼びかける
↓上海の日系企業でスト
↓上海の日系企業で暴動、建物が壊される
↓外務省、国民に中国への渡航自粛を求める
↓中国政府 これ以上の混乱は中国経済にも不利益をもたらすと無秩序な反日行動の自粛を呼びかけ、無許可のデモは認められないと発表
↓日系企業の社員家族、帰国しはじめる
↓北京のデモ 当局により事前に押さえ込まれる
↓米国政府 日中関係の悪化による極東情勢の不安定化を懸念、両国政府に関係修復を求める
↓ジャカルタで日中外相会談 両国ともこれ以上の関係悪化は望まないことを確認
↓中国政府 謝罪はしないが被害を受けた日本の在外公館の現状修復を申し出る
↓反日デモは下火になる

 なんと言うことはない、これでは多少派手になっただけで現実の流れとほとんど変わらないではないですか。
ただ日本政府が強硬な態度を取っただけでは駄目ということですね。反日の流れを反政府デモのレベルまで持って行かなくては中国政府はそれほど慌てない、即ち現状は変えられないということです。
まあ、「強く抗議する」だとか「謝罪と賠償を求める」など正攻法の外交政策では限界があるということでしょう。
出来れば使いたかー無いが、もっとアンダーグラウンドな手法が不可欠と言う事でしよう。
そこで、今後似たような反日暴動が起きた時のために以下のようなシナリオを考えて見ました。

 まず、暴動が起きる以前に準備が必要です。
普段から中国で反日サイトに出入りする人物を複数確保ししておきます。
そこそこ反日活動に熱い人間が望ましく、在日留学生当たりとパイプを持っている人物、そんなパイプなどなければこちらで用意してやるのです。
勿論、日本の公的機関の影を感じさせないようにしなくてはいけません。
 そうして、必要とするときに日本から事実と、デマとを適度に混ぜた美味しそうなネタを発信出来るようにしておくのです。日本からの発信では当局の検閲に引っかかるのなら、中国の国境の町からでも、東南アジアの親中某国からでもかまいません。
検閲を回避する芸当の出来る人ぐらい雇いましょう。
 反日デモを企画するような団体の周辺部や内部にも表向き反日理解者の触れ込みでコンタクトを取れるような人物を確保しておきます。
(予断ですが、これらの経費は2001年頃有名になった外交機密費を当てます、というか本来こういう使い方をするためのお金でしょ)
 中国の在外公館でも反日サイトや、反日活動にはアンテナを張り巡らせておくことは言わずもがなです。

 さて、仕掛ける時期は中国国内になにか大きなスキャンダルが起きた直後が良いでしょう。
たとえば大規模な中央官僚の汚職事件が発覚した直後とか。
ともかく某年某月反日のうねりが起き始めます。各地で小規模なデモが発生します。
中国当局は身内のスキャンダルの直後ですので、デモへの対応は慎重にならざるおえません。デモを企画した団体も秩序ある行動を呼びかけています。
勿論合言葉は「愛国無罪」です。
ここで、かねてから中国国内に仕込んでおいた人物を通して、自称愛国留学生や某国在住の愛国青年から反日を煽る熱い内容のメールやメッセージを流し続けます。
 このまま大規模なデモまで発展すれば良いのですが、なかなかそうも行かないでしょう。
そんな中、中国に進出している某有名企業の幹部が、中国製品の品質の悪さ、従業員の質の悪さをあげつらったという、怪情報が流れます。
さらに、上海の中国人小学生が日系企業幹部の乗った車に撥ねられ重態、適当な金額を払って揉み消そうとした。
日本の外務官僚が中国某都市で乱交パーティ
とにかかく何でもいいのです、有ること無いこと、ただし中国人が小日本ならやりかねないと思わせるような怪情報をばら撒くのです。
勿論、かねて用意の反日団体に繋がりのある人物を介しても反日感情を煽り立てます。
そんなことを続けてゆけは当局の締め付けがあっても、ある程度規模の大きなデモが企画されるでしょう。
 日本政府としても協力しなくてはいけません。
首相を初めとして閣僚も「遺憾です」とか尤もらしい言葉の端はしに中国人民の神経を逆撫でする様な言葉を散りばめて行きます。
外務大臣も、中国政府に対し2005年の時のような無様な対応は取らないようにと無礼な要請をします。
某国会議員や、某都知事のような人物にも大いにがんばってもらいましょう。中国の反日活動や反日教育をメディアでガンガン非難してもらいます。この模様はネットや衛星電話で逐一中国国内に流します。
ここまでくれば、北京、上海など大都市で大規模なデモが発生するでしょう。発生しなければ発生するまで煽り立てるまでです。

 大規模なデモが起こればその後に、もし当局の手で事前に中止させられたらその直後のタイミングで、数隻の漁船に分乗した自称右翼団体の男たち数名が、尖閣諸島魚釣島に上陸、島の天辺に日章旗を掲げる事件が勃発します。
さらに、ネット配信されたその時のビデオ映像には、翩翻と翻る日章旗の下で、あろうことか、大きく墨で×印の描かれた中国の国旗がへらへら笑った男たちに○×(自己検閲)を掛けられガスバーナーで焼かれているのです。
自国の国旗にこのような仕打ちをされて冷静でいられるのは日本国民ぐらいのものです。愛国心に溢れた中国人民の皆さんは耐えられません。

 ここまで遣られれば中国の民衆は完全に激発します。
なにしろ、幼少の頃から反日教育にどっぷり浸かって育っているのです。あの鬼畜日帝が、小日本があろう事か我国の国旗に侮辱を加えたのです。
 某日曜日、北京、上海など大都市で開かれた大規模な抗議集会はデモ行進に移行、日本の在外公館に向かいます。
北京ではその数五万。まさに2005年4月の再来です。
大使館の窓に石が投げられ、ビンに詰められたペンキが投げられます。そうして投げられた何本かのビンから火の手が上がります。
大半は大使館の壁にぶち当たって炎が広がっていますが、中の一本が割れた窓から室内に飛び込み出火、窓からめらめらとオレンジ色の炎が広がっています。
勿論暴徒たちに紛れ込んだ工作員の仕業です。
暴徒たちは「愛国無罪」を叫んで躍り上がって喜びます。
程なく遠くの方から消防車のサイレンが響いてきますが、大群衆に阻まれて炎上する大使館に近寄れません。
群衆の口から叫ばれていた「愛国無罪」の言葉はいつの間にか「反日無罪」に変わっています。
夜になっても消火活動がなされないまま燃え続ける日本大使館の前で、群集は解散しません。
かわるがわるアジ演説をして、奇声を上げています。
彼らの周りを、無言で武装警察が取り囲んでいます。
他の都市でも同様の光景が繰り広げられています。
その間こんなデマが流されます。
魚釣島に日本の軍艦が接舷し日本軍が上陸したと。
中国海軍の艦艇も5キロほど離れた海上にいたが阻止しなかったと。
更に、一連の反日デモの発端は政府が役人の汚職スキャンダルを隠蔽するために仕組まれたものだという怪情報が流れます。
群集のなかに動揺が走ります。
小声ながら政府に対する不信感を露にする者も出始めます。
翌日、北京市の当局者が大使館前の群集に呼びかけがなされます。
「諸君らの気持ちは我々も同じだ、だがこれ以上の混乱は我国のためにならない、秩序を持って解散してもらいたい」
呼びかけに答え、群集は散り始めます。
そんな中ハンドマイクを手に「今回のデモの発端は、役人の汚職事件を隠蔽するために仕組んだものだと聞いたが本当か」と北京当局者に問い質す者が現れる(これ、仕込んでおいたアジテーターです)。
「そんな事実は無い、デマに惑わされるな」当然当局者は答える。
不信感が蔓延する群集と、武装警察、市当局者がにらみ合う。
「愛国無罪」甲高い叫び声と共に火の点いたビンが武装警察の隊列に投げ込まれる。路面に当たって火炎が広がる。
武装警察の隊列が崩れ、群集にパニックが広がる……

3時間後、上海をはじめ各都市に北京のデモ隊が当局の軍隊に強制排除されたと伝わります。
「反日集会を開いていた民衆にいきなり発砲した」とか、
「いや、役人の汚職を隠蔽するためにデモを利用したと糾弾されて逆上して発砲したんだ」
「そうじゃないよ、北京のデモは反政府デモだったんだそうだ」など中国全土にデマも何もかもが一緒くたになってあっという間に広まって行きます。
デモ当初、当局が静観の構えを取っていたために、各地の反日デモは徐々に反政府批判の場に変貌して行きました。
そのうちに、あちこちで警官隊とデモ隊の小競り合いが発生、遂に大都市では人民解放軍が動員され、89年の天安門事件の悪夢が再来した瞬間です……
 1カ月がかりで漸く全土の治安を回復した中国に対する対外評価は失墜、北京オリンピックの開催をも危ぶまれ始めた。
 翌月、胡錦濤体制は保たれたものの、公安局長以下、季節外れの人事大異動が行われました。
 翌年、中国の歴史教科書の内容は大幅に変更されていたが、中国政府からの公式コメントは出されていません。

                         終 劇

 どうでしょう、ここまでくると外交工作の域を超えて完全に謀略ですね。でもこれぐらいしないと中国の反日教育はなくならず、いつまでたっても日中間に全うな外交関係は樹立できないと思いますが、皆さんいかがでしょうか。

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    ※インターネット上には、1ヶ月前までの情報はそこらじゅうに溢れていますが、ほんの3ヶ月前の情報を時系列に沿って集めようとすると、非常に苦労することに驚きました。
どこかに、ニュースのアーカイブサイトとかありませんかね。、

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