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2005年11月27日 (日)

首相靖国神社参拝と改憲に思う 05/11/27

 小泉首相の靖国神社参拝で中国や韓国との外交が滞っている事について、日本国内のマスコミ等は「なぜ小泉首相は頑に靖国神社参拝にこだわり、中韓の神経を逆撫でし続けるのか疑問だ」的な論調の記事が見られ、少なからぬブログでも同様の疑問を記事にしている。

 しかしこの件については、現在の政府と自民党の状況を整理すれば自ずと見えてくるものがあると思う。
 第一に、小泉首相が総裁を勤める「自由民主党」はそもそも「改憲」を目的に結党された政党であり、今年が結党50周年の節目の年であること。
 第二に、前回の衆議院選挙で自民党が大勝し、与党が3分の2の議席を確保したこと。
 以上の事から、結党以来の悲願であった「改憲」が机上の空論ではなく現実味を帯びてきており、実際に「改憲」に向けた動きが出始めている。当然小泉首相も今が「改憲」のためには千載一遇のチャンスであると認識していることだろう。

 「改憲」のためには、衆参両院で3分の2の賛成を得た上で国民投票で過半数の賛成を得なければならない。
現在与党は衆議院では3分の2の議席は得ているものの、参議院では達してはいない。ところが先の衆院選後の郵政民営化法案可決までの流れのなかで、あれだけ強行に反対し続けていた人たちの多くが、手の平を返したように賛成に転じたことが注目される。宗旨替えの理由はただ一言「民意ですから
 無節操だとか、日和見だとかの批判はひとまず置くとして、この現象を眺めるに「改憲」を進めるに際して与党の両院での議席数もさることながら「最も重要な要素は民意である」と言えよう。小泉首相を始めとして自民党の執行部も同様の認識を持っていることと思う。
 さて、ここで問題となるのは「改憲」のための民意をどのようにして醸成して行くか、と言うことになる。
特に、憲法改正の肝になる「9条をどうするのか」と言う点だ。この点から日本の状況を眺めた時、周囲の国がみな友好的で全く脅威が感じられなかったなら国民の多くは「9条?別に変える必要無いんじゃない」
「今まで問題なかったんだから、無理して変えなくても……」
「今の平和憲法素敵です!」となり、とても改憲できる雰囲気にはならないでだろう。
 少し前なら領空内に迷い込んだ(?)民間旅客機を平気で叩き落し、時折バジャーやらベアやら偵察機を日本領空に飛ばしてくれていたソ連という大物が控えていたが今は無く、北朝鮮の脅威と言ってもブラフやハッタリばかりで本当に日本を攻撃できる核ミサイルを持っているのかもよく分からない。また国力の点でも強い国と言うよりは、悲惨な国というイメージの方が勝っている。
 そこで敵役として浮上してくるのが、熱狂(狂信?)的な愛国教育の国、反日暴動をしでかし日本の大使館にも攻撃の手を加えてくれる「中国」と言うことなのです。
 小泉首相の一連の対中行動や言動を眺めて見れば、一見日中友好は重要だ、進めるべきだと言いながら、要所要所では彼の国の神経を上手い具合に逆撫でしていることが分かるでしょう。
 その結果(だけではないが)、東シナ海ではガス田が開発され、日本の領海間際にまで中国の軍艦が遊弋し、石垣島には潜水艦が領海侵犯してくれる事態になっております。
 少し前まで国民の間で非常に高かった中国に対する親近感、友好感は見事なまでに不信感、嫌悪感に逆転しております。
小泉首相=自民党としては中国を仮想敵国まで行かなくても、それに近いところまで民意を引っ張って行き「だから憲法9条は変えるべきだ」に結び付けたい考えなのでしょう。

 つまり、現在の冷めた日中の外交関係は改憲に向けた民意醸成のための布石と言うことができ、今のところ中国は首相の思惑通りに踊ってくれていると言えるでしょう。

 このことを踏まえたうえで、国民は憲法9条問題を含めた「改憲」に対し、どのような判断を下すべきだろうか?

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2005年11月20日 (日)

構造計算書偽造事件に思 05/11/20

 首都圏のマンションなどの建築確認に偽造した構造計算書が使われた問題で国土交通省は18日、建築確認検査をした指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都)が、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に必要書類の提出を求めないまま審査を行った事実を明らかにし、適切な検査を行えば不正を防げた可能性があると指摘した……(11/18 22:06 産経新聞)

 今回の事件では何と言っても、確認申請に添付する構造計算書の偽造を行った建築士の責任が最も重いのは当然の事であるが、
検査機関ががチェック仕切れなかった点にも重大な問題があると言えよう。
 現在建築確認書のチェックは自治体の他、国土交通省の指定を受けた民間検査機関で出来ることになっており、手続きのスピードアップなどの効果が出ていると言われている。
 しかし、民間検査機関の多くが株式会社である点から、企業として利益を上げることが求められ、当然同業者間の競争が発生する。
 恐らく申請手数料は規定があり、極端な安値や高値に設定することは出来ないであろうから、手続き速度を可能な限り速くすることで処理件数を増やし、利益を上げようと努力するのだろう。
申請者も、出来るだけ速い建築許可を求めているので両者の利害は一致する。
 問題は、検査機関がチェックする相手が自らの顧客であると言う点ではないだろうか。

 今回の事件の構造は少し前のカネボウの粉飾決算事件に似ているのではないだろうか。
粉飾決算事件では監査法人側が積極的に粉飾決算に関わった可能性が高いものの、どちらもチェックする側が民間の企業、チェックされる側がその顧客という構図では一致している。

 「民間に出来ることは民間に……」行財政改革に向け、小泉首相が合言葉のように発する言葉だ。
規制緩和、行財政改革の推進は今の日本にとって急務の課題であるが、今回の事件は、民間に出来ることでも敢えて官で行った方がよい物が存在する。少なくとも最終チェックは官で行うべきものが存在すると言うことを浮き彫りにした事件であったと思う。
 特に市民の健康と安全に関わる事柄は完全に民間任せにしてはリスクが高すぎるのかもしれない。

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2005年11月14日 (月)

フランス連続暴動に思う 05/11/14

 今月1日夜から始まったフランスの暴動は、パリでこそ沈静化の兆しが見えるものの、地方では収束の目処が立っていない。

 最初の暴動からほぼ半月たった今でもフランス国内で暴動や放火が続いており、13日夜には隣国ベルギーや更にはオランダやスイスまでに飛び火している。
 国民の7割が強硬措置で対処するサルコジ内相を支持している状況、エッフェル塔近くの広場で開かれた「暴動反対集会」、極右政党、国民戦線のルペン党首(2002年の大統領選で決選投票に進んだ人物)のパリにおける集会。
 暴動を起しているのが北アフリカなどからの貧しい移民の若者達である事実から、沈静後フランス国民の間に移民に対する不信感、更には排斥運動にまで発展する可能性が高いと考えられる。
 排斥される側の移民達の多くがイスラム教徒であることから、イスラム過激派がフランスを始めとするヨーロッパで活動しやすい状況になってしまうのではないか。
 強硬措置一辺倒では、中東、イギリス、バリ島などで起きた自爆テロの悪夢がEU諸国に広がる事が懸念される。

 フランス政府は自国の安全のみならず、EU全体を自爆テロの標的にさせないための硬軟合わせた微妙な舵取りを求められている。

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2005年11月 6日 (日)

米副大統領補佐官起訴に思う 05/11/06

 CIA工作員情報漏えい事件を捜査していたパトリック・フィッツジェラルド特別検察官は先月28日、チェイニー副大統領の首席補佐官であったルイス・リビーをCIAA工作員名漏洩に関わる司法妨害罪や偽証罪など5つの容疑で起訴した。

 第三期小泉内閣の組閣にマスコミと国民の目が集中している内に海の向こうでは大きな波が動き始めているようだ。
 ブッシュ政権内のネオコンの一角に司直の手が伸びた。
どうやら米政権内では、今まで一方的に押され気味だった中道派の巻き返しが始まったようだ。
 2000名を超える戦死者を出し、泥沼化しているイラク政策、更に米国南部のハリケーン被害に対する不手際などで急激な政権支持率の低下を招いたが、大統領は一向に強硬路線を変えようとはしていない。
 捜査の手が伸びているのは一人副大統領首席補佐官だけではない。リビー補佐官の後継者に任命されたデビッド・アディントン副大統領顧問も、リビーの工作の幇助をした疑いで捜査されているという。
 また裁判の過程でチェイニー副大統領自身の証人尋問などが予想され、更にブッシュ大統領の側近中の側近、カール・ローブ次席補佐官も、ウィルソン元大使の妻がCIA工作員であることを記者らに漏らした疑いで起訴される可能性が高いと言われている。
 こうなってくると当然中道派、民主党のみならず共和党内部からも副大統領の辞任を求める声が大きくなってくるだろう。
 それだけでもブッシュ政権にとっては大打撃だが、フィッツジェラルド特別検察官の捜査の手はそれだけでとどまりそうに無い。
取材源の証言を拒否し収監されていたミラー記者に口止めを求め何度も面会していたボルトン国連大使や、ライス国務長官までもが捜査の対象となっているらしい。

 この一連の流れを見ると、単にネオコンに対する中道派の巻き返しと言うだけにとどまらず、現在のブッシュ政権の強硬路線に危機感を持った共和党上層部までもがネオコン勢力の切り崩しに積極的に動き始めたと言う事ではないだろうか。
 あるいはその過程でブッシュ政権が倒れることになってもやむなしと腹を括ったのかも知れない。

 着々と進められる対ネオコン包囲網。
ブッシュ政権はこのまま行けばウォーターゲート事件で倒れたニクソン政権の二の舞になる可能性が大である。
 共和、民主両陣営の奥深くではすでにポストブッシュに向けた準備が粛々と進められているのかもしれない。

 次の米国の顔がどの男(女?)のものになるのか、日本にとっても重大な問題である。

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